パン生地には油脂が入るものと入らないものがあります。
バゲットやチャパタなどは、基本は油脂は使いません。
しかし、菓子パン生地やミルク生地(ミルヒ生地)、食パン生地などは油脂を使います。
基本、パン生地に油脂を入れる場合、バターやマーガリン、ショートニングなどが一般的です。
フォカッチャやピザ生地などにはオリーブオイルをよく配合します。
そして、ドイツやオーストリアでよく食べられるプレッツェルやカイザーゼンメルなどには昔からラードが使われることがあります。
※最近はラードの代わりにバターやマーガリンを配合しているレシピの方が多いです。
・ラードを使用するレシピ
・プレッツェル
・カイザーセンメル
・ソフトバゲット
パン作り最初の油脂はラード
油脂をパン生地に使うようになったのは紀元前500〜400年頃と言われています。
この頃のギリシャではすでに牛乳やバターなどをパン生地に配合していたとも言われています。
また、諸説ありですが、このようにパン生地に油脂を使い始めた頃、一番最初の油脂としてラードやそれに似た油脂だったのではないかと言われています。
ラードを生地に練り込む特徴
- 生地の伸展性を高める
- 歯切れのいい食感になる
- ラード特有の香りとコクをつける
1、生地の伸展性を高める
パン生地に油脂を練り込むことで、生地中のグルテンがコーティングされて、生地の伸展性が良くなります。
伸展性が良くなると言っても、バター使用時と比べるとやはり、伸展性は劣ります。
そのため菓子パン生地のようにふわふわで大きく膨らましたいものには向いていません。
しかし、プレッツェルのようにあまり発酵をとりたくないけど、しっかり生地を伸ばして成型したいものに関してはラードは向いていると言えます。
2、歯切れのいい食感になる
植物性油脂ショートニングと少し特性が似ていて、出来上がったパンがサクサクな歯切れのいい食感になります。
それに比べてバターはきめ細やかなふわふわな食感になります。
バターは15%前後、水分が含まれているのに対して、ラードは0.2%以下なので、油脂を入れたいけど、そこまで柔らかくしたくないカイザーゼンメルのような小型の食事パンなどにもラードは向いていると言えるでしょう
3、ラード特有の香りとコクをつける
油脂にはいろいろな種類があって、それぞれ、いろや香りに特徴があります。
ラードは基本2~5%くらいで配合するものが多いです。そのくらいの配合であれば、さほど、ラード特有の香りは気にすることはないと思います。
しかし、10%前後になってくると、やはり、ラード特有の香りがしてきます。
また、ラードを配合するとコクがプラスされると良く言われます。
「パンのコク」と言われても、正直、何がコクなのかイマイチイメージしにくいかもしれませんが、一般的に間接的に美味しさがプラスされると言われています。
例えば、発酵食品のみりんと砂糖の違いのように、同じ甘さをつける物ですが、みりんを使用すると、少し、複雑な味/深い味になりますね。
このようにラードは植物性油脂のショートニングとよく似た特徴がありますが、やはり、動物性の油脂なので、こういった、ラード特有の少し複雑な味を表現できます。
・油脂の役割について。
コメント