高栄養価穀物「ライ麦粉」について。

製パン豆知識



前回、「米粉について」の話をしたので、今回は「ライ麦粉」について話していこうと思います。


まず、皆さんは「ライ麦粉」と聞くとどんなイメージですか??

「ビタミンやミネラルが豊富」とか「健康にいい」、「酸味がある」などではないでしょうか?


今回は、実際にライ麦に含まれる「栄養素」や「酸味の原因」、「グルテンフリー」について話していきます。

ライ麦の栄養素


ライ麦は小麦と比べて「ビタミンB群」や「食物繊維」、「必須アミノ酸のリジン」などが豊富です。

それからミネラル(カリウム、マグネシウム、リンなど)も豊富に含んでいます。

またライ麦パンは小麦粉だけで作ったパンと比べると、噛み応えがあるので、咀嚼回数が増えるとも言われています。


この食物繊維が豊富なこと」と「咀嚼回数が増えること」などから、ライ麦を使用したパンなどはダイエットにも期待されています。

更に、ライ麦は「低GI食品」でもあります。

「低GI食品」とは、血糖値を上げにくい食品のことです。

何か食品を摂取すれば、血糖値が上がります。
そして、その上がった血糖値を下げるために「インスリン」と呼ばれるホルモンが分泌されます。

この「インスリン」は本来、上がった血糖値を下げるので、必要なホルモンなのですが、
過剰に分泌してしまうと、中性脂肪を合成してしまう働きもあります。

つまり、「低GI食品」を食べることで、中性脂肪をつける「インスリン」と呼ばれるホルモンの過剰分泌を防ぐことができます。

ライ麦の酸味の原因


「ライ麦パンは酸っぱい!!」「酸味があるパン=ライ麦のパン」

「ライ麦パン」や」「ライ麦が配合されてるパン」を食べたことがある人は同じようなことを1度は思ったことがあるのではないでしょうか??


実は、それは半分正解で、半分間違っています!!

なぜなら、「ライ麦自体に酸味はない」からです!!

そうなんです。ライ麦自体には酸味はありません。
なので、ライ麦を加えて、クッキーやスコーンなどを作っても酸っぱくありません!!


では、なぜライ麦パンには酸味があるのかというと、それはライ麦が発酵する際に「乳酸菌と酢酸菌」が発生するからです。

もちろん、小麦を発酵させる際にも「乳酸菌や酢酸菌」は発生します。

しかしライ麦は小麦と比べて、「発生する酢酸菌の量が多い」と言われています。

そのことがライ麦パンの酸味のある原因です。




そして、ライ麦粉は小麦粉と比べて、グルテン形成ができない特徴があります。

グルテン形成ができないと「ふっくら」と膨らんだパンを作ることができません。


それを補うために「サワー種」と呼ばれる、ライ麦粉で作った酵母を使う場合がよくあります。

このサワー種が酸味の主な原因となっています。


ライ麦はグルテンフリーではない!?

先ほど、少し触れましたが、ライ麦粉はグルテン形成ができません。

つまり、ライ麦は「小麦粉と違ってグルテンがない」ということです。

このことから「ライ麦はグルテンフリーだ!!」、「グルテンフリーダイエット中でもライ麦100%使用のパンなら食べることができる」とよく言われます。


しかし、実は「ライ麦はグルテンフリーではありません」!!

少し、マニアックな話にはなりますが、グルテンが形成されるためには「ある2つの物質が必要になります。」


その2つの物質とは「グリアジン」と「グルテニン」です。
この2つの物質が水と一緒になって力が加わる(練る)ことによって、グルテンが形成されます。

このグルテンは網目構造になっているので、しっかりと生地を練ることで、網目の細かいグルテンが構成されて、弾力のある、ふっくらとしたパンを焼くことできます。


この2つの物質(グルテニン、グリアジン)が含まれているのが、小麦粉です。

そして、ライ麦にはこの2つの物質は含まれていません。

しかし、ライ麦には「セカリン」と呼ばれる「グリアジン」に似た物質が少量ですが含まれています。

2つの物質がないので、グルテン形成はできないのですが、グルテンを作るための物質が1ついるので、厳密にいうと「ライ麦はグルテンフリーではない!!」という扱いになります。

つまり、「グルテンに敏感な体質」の人がライ麦を摂取してしまうと、反応してしまう可能性があります。

まとめ

以上が簡単にですが、ライ麦についてのお話です。

ライ麦は栄養価が高く、「健康食」や「ダイエット」に向いています。

近年は「しっかり食べるダイエット」が注目されているので、ぜひ、ライ麦を使用した「パンや焼き菓子、料理」などを取り入れてみてはいかがですか。

その際に気を付けることは「グルテンフリーではない」ということですね。

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