「パンの発酵温度・湿度」について。

製パン豆知識

おいしいパンを作るうえで気を付けるポイントはいくつかあります。

「イーストの量やミキシング方法」、「発酵温度や焼成温度、時間」などをたくさんあります。

今回はその中でも、「発酵」に着目していきます。


水温調整をして、捏上温度もバッチリ! 
でも上手に発酵の温度や湿度を間違えると、ふっくらしたきれいなパンを焼き上げることができません。

現場では毎日、同じ機械を使い、ある程度マニュアル化されているので、そこまで気にすることはありませんが、家庭でパンを発酵させるのって意外に難しかったりしますよね??



なので「家庭でパンを発酵させる際のポイント」をいくつか紹介します。

発酵時に気を付ける2つのこと

まず、発酵させる際に気を付けることは、基本2つです!!

それは「温度」と「湿度」です


これはパン屋でも家庭でのパン作りでも同じです。

温度と湿度をコントロールすることができれば、きれいにパンを膨らますことができます。


上記でも少し話しましたが、パン屋さんには「ホイロ」や「ドウコン」と呼ばれる業務用発酵器があります。


これらがあれば、2、3種類の異なる温度や湿度の調整できるので、様々な種類のパンを同じタイミングで発酵させることが可能です。


しかし、家庭では道具や機材、場所(スペース)は限られています。

そのため、いろいろと工夫しながら、温度と湿度をコントロールする必要があります。

パンの発酵温度

正直、パンは種類や作り方などによって、異なるため、一概にこの発酵温度というのは決まっていません。


ただ現場では↓↓のような温度が一般的に使われています。

  • クロワッサン、デニッシュなどの油脂が多い25℃~28℃
  • バゲットは27~28℃
  • 菓子パンは30℃~40℃

見てわかる通り、25℃~40℃までの差があり、家庭で対応するにはかなり難しいです。


家には限られた機材しかないので、いくつもの違う温度帯で発酵させることはできません。

パンの発酵湿度

発酵温度も大切ですが、湿度も大切です。

適切な温度でも湿度がなければ、パンは乾燥してしまい、きれいに膨らみません。

また反対に、湿度が高すぎても、べちゃべちゃになってしまい、きれいに膨らみません。


基本的に、現場では↓↓のような湿度が多いです。

  • クロワッサン、デニッシュ生地は75%
  • バゲット、天然酵母生地は75~80%
  • 菓子パン生地は80~85%

こちらも温度同様に75~85%と差があり、家庭で調整するにはかなり難しいです。

インストアベーカリーから学んだ温度と湿度

結論から述べると、「28、29℃、80%&霧吹き」ですべてのパンが問題なく膨らみます!!

ここで、少し話はそれますが、私は以前、「インストアベーカリー」(スーパーやデパート内のベーカリー)に勤務していたことがあります。

そこはベイクオフベーカリーで、厨房スペースはとにかく狭く、機材も限られて、発酵させる機械は「ドウコン1台」だけした。

そのため、「リターダー(冷蔵庫)」や「おかホイロ(室温)」なども使いながら、上手にパンを解凍、発酵させていました。

例えば、パイ生地などのイースト不使用の物は、リターダーで解凍後、すぐに焼成します。

メロンパンや油脂の多いクロワッサンなどは、オーブンの上やそばを使って発酵させます。

そして、それ以外のパンは1台しかないドウコンで発酵させていました。

そのドウコンの設定温度が「29℃、80%」でした。

おかホイロ(室温、オーブンの上など)を利用するときは「霧吹き」をこまめに噴きながら乾燥を防ぎます

※霧吹きを吹く場合は、湿度を計る(数値化する)のは難しいので、生地を見て、触って判断します。

※ベイクオフベーカリーは工場から冷凍生地が送られてきます。
そのため生地にはイースト以外にも、イーストフードや添加物などが含まれているので、多少無茶をしても、パンが膨らみます。


とはいえ、この「28~30℃くらいの温度帯」と「霧吹き」を上手に使えば、様々なパンを作れるということがわかりました。

※29℃に設定しても、ドアの開け閉めで温度が下がったり、室温などの影響(特に夏)によって、±1℃はよくあることなので、「28~30℃くらいの温度帯」と書いています。

家庭で使う発酵機材

上では29℃とか80%などと数字が出てきましたが、これはあくまでもパン屋さん(現場)での話です。

それらを利用して、家庭版にアレンジしていきます。


家では機材やスペースが限られているので、できるだけ、既存の機材や安価なものを利用したいと思います。

1、電子レンジオーブン

電子レンジの発酵機能を使うのが1番便利です!

正直これがあれば、全く問題ありません。


私の電子レンジでは↓のように30℃~45℃まで発酵温度を選べるようになっています。

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この中で使うのは30℃、35℃です!!

29℃に近い温度は30℃なので、私自身、30℃をよく使います。

あんぱんなどの菓子パンの最終発酵(2時発酵)や天然酵母パンの発酵などは35℃をよく使います。

また、最近の電子レンジには水を入れて、湿度を保てる機能が付いているものもあります。

もし、湿度調整がない場合は、霧吹きで水を吹いて、乾燥を防ぐようにしましょう。

2、室温

室温もパンを発酵させるのに便利な場所の1つです。


例えば、「キッチン」、「風呂場」、「1階と2階」ではすべて「室温」が異なることが多いです。

これらの部屋の温度を計って、28~30℃に当てはまるor近い場所を選ぶと良いですね。

しかし、室温で発酵させる場合はパン生地が乾燥しやすいので、霧吹きで水を吹いたり、濡れ布巾をかぶせるなどして、乾燥を防ぐようにしましょう。

3、発砲スチロール(簡易ホイロ)

これは1、2番が使えない環境での「簡易ホイロ作り」です。

特に冬場では室温が低く、乾燥していることが多いので、↓↓のような「手作りホイロ」が意外と便利です。

↓↓コップなどにお湯を入れて、温度と湿度を調整します。
※はじめは50~60℃くらいのお湯をいれて、蓋をして、温度を測ってみると良いです。

もちろん、お湯はすぐに冷めてしまうので、ある程度発砲スチロール内の温度が下がったら、お湯を変えなければいけません。


正直、「発砲スチロール」にこだわりがある訳ではないので、使っていない「衣装ケース」や「クーラーボックス」などでもOKです。

その中でも発砲スチロールは、安価で保温性も優れているので、とても便利です。

また、小さいサイズから大きいサイズまであるので、天板の大きさやよく使うボールの大きさに合うもの一回買っておけば、ずっと使えます。
※小さいサイズなら100均でも売っていることもあります。


↓↓のようにしてふたを閉めておけば、温度も湿度も下がりにくく、「ホイロに近い環境」を作ることができます。

まとめ

今回は私の経験も含めて「発酵の温度・湿度」について話しました。


電子レンジの発酵機能が1番便利ではありますが、スペースに限りがあります。

多くパンを作る場合や、発酵時間をずらして、焼成したい場合などは2、3番で紹介した「室温や簡易発酵器」などと一緒に使うのも良いと思います。

また、家族や同居人がいる場合は、時間帯によっては「電子レンジが長時間使えない」なんてこともあると思います。

家庭ではお店とは違い、機材やスペースが限られています。

そのため、いろいろと工夫をしながらパンを作らなければいけません。

工夫しながら、パンを作ることも「家庭でのパン作りを楽しむ1つの醍醐味」かもしれません。

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