まず、私がパン業界に入ったのは、今から約10年前になります。
その当時、パンや料理業界じゃない人に「バゲット」と言っても「え、何それ?、何のパン?」とよく聞き返されていました。(本当です。)
そして「フランスパン」と言うと、みんなわかってくれました。
でも今では、パンに詳しくない人にでも「バゲット」という言葉がある程度浸透したように思えます。
そのぐらい「バゲット」を食べる、見かけることが増えた証拠だと思います。
また最近では、様々な大きさや味、具材が入ったバゲットを買うこともできます。
フランスと日本のバゲットの違い

バゲットの本場、フランスでは「バゲットの名」を語るには「材料、生地重量、長さ、クープの本数」などが決まっています!!
「長さ」が異なるだけで「バゲット」と語れなくなってしまったり、「他の名前」が付くようになったりします。
しかし、日本においては「バゲットに関して、明確なルールや基準」がありません!!
つまり、どんな材料を使っても、どんな大きさ、形でも作り手が「自由にバゲットの名」を語ることができます。
そのため、現在、日本のパン屋さんでは様々な種類の○○バゲットが売られています。
「抹茶やチョコレートを使った色鮮やかなバゲット」や「油脂が入った柔らかいバゲット」などがあります。
他にも「ナッツやフルーツ、チーズが入ったもの」や「米粉を加えて、もちっちりとしたバゲット」など多種多様です。
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バゲットが多様化した理由

ここ数年で「日本のバゲットは多種多様化」しています。
どうして「バゲット」がここまで多種多様化されてきたのでしょうか??
1つは↑でも書いた通り、日本にはバゲットと語るためのルールがない。ということですね。
そのため、固定概念に縛られる必要がもともとないことが挙げられます。
そして、2つ目はフランスと日本のパンへの認識の違いだと思います。
フランスのパンといえば「バゲットやカンパーニュ、クロワッサンやブリオッシュ」などが有名です。
バゲットやカンパーニュなどは砂糖や油脂が不使用で硬く、料理に合わせて食べたり、タルティーヌなどのオープンサンドなどにして食べることが多いです。
クロワッサンやブリオッシュはそのまま食べることも多いですが、朝食の際に、ハムやチーズなどを挟んで食べたり、スクランブルエッグや生ハムなどを乗せて食べたりもします。
他にも、日本ではあまり有名ではありませんが、「タハ、シャンピニオン、セーグル、パン・オ・ロデブ、パン・オ・ルヴァン」など、砂糖や油脂の入っていないパンが多く売られています。
それに比べて日本のパンといえば「メロンパンやあんパン、クリームパンやコロネ」など、加工しないでそのまま食べるパンがほとんどです。
「食パンやバターロール、コッペパン」などは加工して食べることが多いですが、生地に砂糖やバター、マーガリンなどが練り込まれていて、柔らかくて、甘いパンです。
つまり、日本人にとってパンとは「柔らかくて甘く、軽食として、そのまま食べるもの」というイメージが強いのではないでしょうか。
このようなことから、日本でバゲットを販売する際に、料理に合わせるバゲットより、甘くて、そのまま食べることのできるバゲットの方が多く売れるようになりました。
その結果、ナッツやチョコレートを入れたり、バターやショートニングなどの油脂を練り込んで柔らかくしたりと、日本人向けに、自由にどんどん開発していった結果、いつの間にか、バゲットが多種多様化されていったのではないでしょうか。
クラムとクラストの多種多様化

柔らかいバゲット、甘いバゲットなど様々な味や食感のバゲットがありますが、実はもう一つ多様化されていることがあります。
それは「見た目」です。
最近は「SNS映え」もあって、「エッジのたった、クープが大きく開いている」もの、断面は「気泡がとにかくぼこぼ開いた」バゲットが「トレンド」な気がします。
また「生食パン」に続き、「生フランスパン/バゲット」もあります。
生フランスパンはクープのエッジは立ってなく、見た目も大きく膨らんでいて、柔らかそうな見た目をしています。
中を切ってみてみると、気泡は少なく、どちらかというと「山食パン」や「ソフトフランス」のような断面をしています。
このように、材料以外にも、見た目(クラムとクラスト)ともに多様化されています。
良いバゲットとは

突然ですが、いいバゲットとは何だと思いますか。
ネットで良いバゲットとは、何かを検索すると、「大小の気泡がたくさんあって、クープがしっかりと開いている」ことと書かれている記事を多く見かけます。
私的には「何を目的として作ったバゲット」なのかが重要だと思います。
例えば、タルティーヌやサンドイッチ、ジャムやチーズを塗って食べることが目的なら、「程よく、穴の開いたバゲット」がベストだと思います。
バゲットにジャムなどを塗りたいのに、穴が開きすぎていては、均等に塗り伸ばすことができませんし、食べた際にも見た目以上に物足りなく感じてしまうこともあると思います。
長時間熟成で小麦粉の甘味を強くしたものであったり、小麦本来の味を楽しむことを目的としたりと、その時々でバゲットを作る目的があります。
そういった加工の有無、食感や香り、味なども考えて、自分の目的と合ったバゲットが焼けた時、それが良いバゲットだと思います。
まとめ
よく「パン作りに正解はない」と言いますが、まさしく、その通りだと思います。
「日本人が好む食感や味」また「自分の思うバゲットを作ること」その結果=バゲットが多種多様化されていきました。
そして、今後も「生フランスパン/バゲット」のように、日本独自のバゲットが生まれてくると思います。
「自分の思うバゲット。それが良いバゲット」です!!
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