「イーストフードの3つの役割」について。

製パン豆知識



皆さん、「イーストフード」って知っていますか。

コンビニやスーパーで売っているパンの原材料欄で見たことがある人が多いのでないでしょうか。


「イーストフード」とは「生地改良剤」とも呼ばれ、「食品添加物」になります。


コンビニやスーパーなどで売られている、大手製パン工場で作られている「パッケージされたパン」には、よくこの「イーストフード」が含まれていることが多いです。


そもそも「イーストフードの役割(効果)ってなに?」「なぜ使うの?」について話していこうと思います。

イーストフードの役割とは?

「イーストフード」の役割には大きく分けて3つあります。


1、イーストの栄養
2、グルテンの補強

3、水の硬度調整

1、イーストの栄養

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これは「イーストフード」の名前の通りで「イーストのフード(食べ物)」なので、イメージがしやすいと思います。


「イーストフード」にはたくさんのアンモニア化合物が含まれています。

これらのアンモニア化合物が「イーストのえさ」となります。


特に糖分が少ないパン生地は発酵の途中で糖分が欠乏しがちです。
糖分が欠乏してくると炭酸ガスの発生力が弱まります。

これらを助けるために「イーストフード」を添加しておくと、この「発酵力が弱まる」ことを抑制することができます。

イーストに栄養を与えることによって、力がつき「発酵力が落ちない」、「炭酸ガスの発生力をキープする」ことができます。

2、グルテンの補強

「グルテンの補強」とだけ聞くと、「小麦グルテン」で代用できそうな気がしますよね。

しかし、「イーストフードのグルテンの補強」というのは「酸化剤」を利用して、小麦粉を酸化させ、グルテンを補強(強化)、もしくは安定させるという意味です。


どうして「小麦粉を酸化させる必要があるのか」というと、これは小麦粉の熟成(エージング)に関係しています。

「小麦粉の熟成(エージング)」とは、小麦を収穫してから、商品の小麦粉として、使えるまでの工程の1つです。

流れとしては、「小麦を収穫→製粉→熟成→商品」です。


この熟成期間に小麦が自然酸化を起こします。

この「酸化」が起きると、酵素が働いて「グルテン組織のつながり」が強化されます。


つまり、熟成(エージング)させることによって、製パン性を高めることができます。

しかし現在の日本ではこの熟成(エージング)期間というのが、明確に定めらていません。

例えば「小麦収穫から輸入するまでの期間」や「各製粉会社での熟成期間」などです。

それに加え、「国内・外の小麦内のたんぱく含有量の違い」なども挙げられます。

これらのことが関係して、小麦粉の状態が不安定です。

そこで、イーストフードを添加して、「強制的に小麦粉を酸化させ、小麦粉の状態やグルテンの補強」をさせることによって、製パン性を高めています。

3、水の硬度調整

水には軟水と硬水があります。

結論から述べると、パン作りにおいて、水は硬水の方が向いています。

そして、硬水の中でも、100~150ppmくらいが一番パン作りに向いていると言われています。


日本の水道水は基本的に50ppmくらいと硬度が低いです。

そこで「イーストフード」を添加することで、50ppmから100~150ppmに調整することができます。


硬水には「グルテン組織の引き締め効果」があります。

「食パンや菓子パン」などの大きな膨らみが必要なパン生地には、しっかりとしたグルテン形成が必要になので、硬水の方が向いています。


しかし、硬度の高い水を毎回準備するのは、お金も時間もかかります。

そこで「イーストフード」の登場です。

「イーストフード」には「炭酸カルシウム」や「炭酸マグネシウム」などが含まれます。

これらの物質が水道水(50ppm)の硬度を変えることができます。

イーストフードの種類

実は「イーストフード」は1種類ではありません。

「イーストフード」は様々な合成添加物の総称です。


例えば、上記の1、「イーストの栄養」で紹介した、アンモニア化合物ですが、詳しく言うと、「塩化アンモニウム」や「炭酸アンモニウム」、「リン酸二水素アンモニウム」などがあります。

これらの物質と他の物質などを混ぜ合わせて作ったものが「イーストの栄養」を目的とした「イーストフード」です。(基本的に2種類以上の物資を混ざってできています。)

他にも、「グルテンの補強」を目的としたものや「水の硬度調整」を目的とした「イーストフード」などがあります。

メーカーや商品によって、「目的の違うイースフード」が販売されています。

まとめ

このようにイーストフードとは、食品添加物で、また3つの役割があります。

そしてメーカーや商品によって、「役割の違うイーストフード」が売られています。


正直、家庭でパンを作る際に、「イーストフード」を使うことはないと思います。

しかし、コンビニやスーパーで購入した「パッケージされたパン」には、含まれていることが多いです。

大手製パン工場では、「1度に大量に仕込む」し、「アルバイトやパートなどの技術がない人」、「機械」などを使ってパンを作ります。

そこで、「イーストフード」を利用して、いろいろと補強し、職人さんがいなくても、毎日同じパンを作れるようにしています。


原材料欄で「イーストフード」の名前を見たら、この記事の事を思い出してください!!

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